薇姫/獣帝





「……もうすぐ


雷学冷祭がある」



『……One more time』



「……もうすぐ雷学冷祭がある」




潔くもう一回言ってくれた來哉の言葉に、私の耳はおかしく無い事を確認する。




『…雷学冷祭?』



首を傾げて呟くと、來哉は溜息を吐いて「明日氷室に聞け」と話を終わらせた。



心なしか顔色が悪く見えた。




それは運転席に座り操作している亮太もで、少し気味悪く思いながら腕を摩った。




『ありがと』



「あぁ……」




來哉は少し笑っていつも返事をする。



それに少し照れくさくなりながらマンションの中に入っていく。





…いつも來哉は私がマンションに入っていくまで見守っているのを、私は知らない。




FAXで送られてきた沢山の英字が並んだ書類。




その書類を一通り目を通すだけで目が疲れる様だった。




カラコンの外した目は淀んでいて不快。




だけど、カラコンをつけた時の感触も好きでは無い。むしろ嫌いだ。




仕方なくスペアで置いてある黒縁の眼鏡をかけて書類の英字をパソコンに打ち込み始めた。






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