薇姫/獣帝
校門に嫌味ったらしく長い足を組んで凭れて目を瞑っている男。
……紘。
『紘』
呼ぶと、目をゆっくりと開けて私の方向を見た。
「遅い」
『うっさい』
「……」
3人で無言で校門を潜って校舎の中に入って行った。
「あ、琉稀~紘~」
「……」
尚は笑いながらきゃっきゃとはしゃいで、透璃は私に抱きついて目を瞑った。
可愛い…けど苦し……
力が強すぎてお腹に腕がのめり込みそう。
私は吐き気に襲われると紘が引き剥がしてくれた。
紘に視線だけでお礼をすると紘は肩を落として笑った。