薇姫/獣帝
『もうすぐ終わるでしょ』
「ん〜…」
紘は甘えた声で私に言いながら額を擦り付ける。
「琉稀、文化祭は大変だから気をつけて」
尚は金槌を持ちながら息を大きく吐いて肩を落とした。
『何が?』
「何もかも…」
尚は「うわぁぁぁああ」と叫びながら頭をぐしゃぐしゃと掻いた。
「……気をつけな」
『透璃まで…』
「疲れたよぉ。
寝たいー」
尚はブーブー言いながら必要な木材などを教室の端で釘で打っていた。
必要な時間はすぐに過ぎて、当日は必ずやってくるのだ。