薇姫/獣帝
本家の一室の鍵を取り出す。
あの部屋だけは洋風で、畳じゃなかった。
私と幹部以上の奴等しか通らない。
あとは、用のある奴。
幹部以上もあまり来ない部屋は、私の仕事部屋。
ガチャンと無機質な音が冷たく響く。
『……』
久しぶりの部屋は真っ暗で冷たい空気が満ちていた。
起動ボタンを一つずつ全て押していく。
暗かった部屋はパソコンの画面の光で少しずつ照らされていく。
最後の起動ボタンを押して後ろを振り向くと……
コンクリートの割れた部分、
掠れている血、
訳の解らない血文字。
…………
『懐かし…』
指の関節を鳴らして1つのデスクに座った。
『……3日間だな』
その後、キーボードのカタカタという音しかしなくなった。