薇姫/獣帝
「なぁ、俺がお前の全てになってやるから
お前も俺だけの全てになれよ。」
欲しくてたまらなかった言葉と暖かい声。
心が光に溢れていく。
頬にふと温かさが触れた。
びくりと、私の体の温度差に体が震えた。
あぁ、あいつだ。
目を瞑って声を心中で繰り返す。
………なり、たいよ…
手を伸ばした先は、暗かった。
それでも、伸ばし続けた。
ーーー何時間にも何日にも感じた。
突然、腕を伸ばしていた先から温かさが体に染み渡った。