薇姫/獣帝
『何から聞きたい?』
ギッと音をたてるソファに座りながら皆に目を向ける。
皆は戸惑ったように目を泳がせながら私を見た。
「……あの、怜央さん達との関係って…」
あれ………
言ってなかったっけ?
苦笑しながら口を開く。
『怜央とは兄妹だよ。』
義理の。と付け足して言うと、來哉達は目を見開いてぽかんと口を開ける。
「………棗さん達も、あれだよな…
組の……」
『幹部』
ホイホイと質問に受け答えする私を來哉だけは静かに見据えていた。
「………当たってごめん、って何だ?」
私の瞳を見据えて問いかけてくる來哉に苦笑を漏らした。
ホント…鋭いな。
『…楼稀が勿論、若頭だった。
でも、若頭という未来に欠けてはならない者が亡くなっては……
イタイ状況だったんだよ。
勿論、長女の私の名前も上がっていた。
その中に棗とか暁月も上がってたけど、誰も予想打にしていなかった結論が巡ってきた。
……施設に偶々居た、怜央だったんだよ。
怜央が何でか楼稀の死んだ暫く後に来ていきなり紹介された。
訳わかんなかったし、納得も出来なかった。
喧嘩も銃などの使いも何も出来ず、ただの青い少年だったから。
そんな奴を選んだ父にも疑問に思ったけど、口ごたえできるような人じゃなかったから……
それから毎日訓練を積んで若頭としての威厳ももてるようになったのが、今の怜央。
昔はへぼかったよ。
……で、何で当たってごめん、だったか…か……
簡潔にいえば…許せなかったんだよ。』
チラリと皆の顔を見ると、不思議そうに私を見ていた。
『…いや、悔しかったのかな……
楼稀と私が血反吐吐くような思いしてたのに、怜央は淡々とその地位を手に入れるんだから。
楼稀の代わりにと出てきたでしゃばりとしか思ってなかった。
それに、私が居たのに女だからという理由で楼稀の代わりさえできなかったのが許せなくて、怜央に当たった。
……結局は自分だったんだよ』
私の自嘲する様な笑みを見て顔を顰める來哉に目を細めた。
『……何か言いたそうだね…』
來哉に向かってそう言うと、皆は顔を強張らせて拳を強く握っていた。
「…あぁ。」
來哉は私を鋭い眼球で見つめた。