薇姫/獣帝
「ーーー今、何を思ってる?」
その言葉の意味を理解できなかった。
『……』
「過去への苦しみでは無いはずだろ?」
來哉は何もかも知ったかの様に言うから苦手だったんだ。
『……苦しみではないよ』
私の胸の内にあるのは……
『ワケの解らない、希望』
何度も夢見てきた、
光。
「ーーーーそうか」
來哉は満足気に微笑んで深くソファに腰掛けた。
「琉稀、俺等……獣帝もお前を支える」
來哉の言葉に顔を上げて皆に目を向けると、皆私をまっすぐに見て微笑んでいた。
『……っバカじゃないの…
私だって、藍城も氷室も、獣帝も……
守り抜く……‼』
彼等は笑って「お互い様だ」と視線を向ける。
「ーーーー琉稀、」
來哉が不意に私の名を呼んで、そちらを見ると真剣な表情の來哉が居た。
「……2人で、話せるか?」
2人で話すということをあまり深く考えずに頷いた。
なぜか來哉以外の皆はニヤニヤしていたが。
それを怪訝に見ながら來哉に促されて総長室に入る。