薇姫/獣帝
「晃さんっ………あの…その……」
「……子供でもデキたか?」
「え゛っ?!」
「今までと匂いが違う。」
私の髪に指を通しながら呟く晃さんの仕草と言動に顔を赤らめる。
「っ晃さん……私…」
産んでもいいんですか?
聞きたくて、聞けなかった。
晃さんには、極道繋がりの婚約者が居たから。
なのに、私を……好きになってくれた。
出会いなんて、単純。
襲われかけてたのを助けられた。
それだけだったのに、お互いなぜか惹かれあって……気づいた時には好きだった。
そして、婚約者の人を知らないまま私は付き合ってしまった……
知った時はショックだったけど…後悔はしなかった。
体を重ねたのは……前の一回限りだったのに……
子供が、お腹にいる。
それを知っただけで嬉しくてしょうがなかった。