薇姫/獣帝
怪訝な顔で歩いて行く芦屋を見た。
芦屋は私がついてきてない事に気づいたのか、振り返って手招きした。
『………』
私は、探る様に芦屋の目を見ていた。
悪意は感じられない。
ただ、
好奇の目で私を見ている。
その目も、嫌いなんだよ。
わたしは踵を返そうとしたら、後ろから腕を掴まれた。
咄嗟に振り払おうとしたけど、力が案外強くて無理だった。
「……来い」
私の腕を掴んだ奴は、葵だった。
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