薇姫/獣帝
通学路、と言うのに相応しい住宅街を進む。
そこは穏やかなのに、
どこか空気がピリピリしている。
私は痛む目をフッと伏せた。
その隙に気配が私の背後に感じた。
振り返ろうとすると、口元に薬臭い布を当てられ、それを吸い込む。
腕をふって肘を落とそうとしたけど、ピタリと動きを止めた。
………この格好で、それはまずい。
私は奥歯を噛み締めて状況を見ていた。
人通りはなく、不気味なくらい静かだった。
心の中で舌打ちをしながら必死に対処法を考えていた。
ぐっと強く布を当てられ、私の意識は降下し始めた。
どれだけ薬染み込ませたんだよ…
そんな事を最後に思ってたら、意識が途切れた。