薇姫/獣帝
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ガタン…ガタ………
遠くで何かの音がして、意識が覚醒し始める。
ゆっくりと目を開けると、目の前に誰かの顔面。
「あ、起きた起きた」
そいつはそう言って私から目を逸らした。
手をうごかそうとすると、縛られていた。
足も同様、縛られていて身動きが出来ない。
「カラコンしてたのは解ってたけど、ごめんね。
取る気にはならなかった」
淡々とした口調で言う男は、携帯を耳に当てた。
「あ、俺おれー。
獣帝さん、お宅の大事な下っ端貰ってますんで。」
私の少し離れたとこにも、男がいた。
その男は私と同じ所を縛られていて、まだぐったりして床に横たわっている。
「………おいでよ。
くくくっ……
あぁ、俺らの倉庫解るんだ?さすがNo.1…
本当、ムカつくね」
男はそう言って電話をきった様だった。
私に向ける怒りの眼差し。
私の腹部を思いっきり蹴る。
………八つ当たりはやめてもらいたいね。