薇姫/獣帝
『元気にしてた?』
「この日を待って元気になってた」
真剣な顔でそう言う柊に若干寒気を覚えながら少し笑った。
「………髪、染めて切ったのか?」
そう言いながら私の黒い短髪を触る。
『んな訳無いでしょ』
苦笑しながら言うと、「ウィッグ?」と聞いてきた。
頷きながらウィッグを取った。
ウィッグの中から藍色の私の地毛が出てくる。
染めてない。
突然変異だった。
私的にはこの髪も気に入ってる。
………あの子のおかげで。
あの子の顔を思い浮かべながら目を瞑った。
すると、さらっと髪を掬う感覚がして、そっと目を開いた。
あった目は、心なしか悲し気だった。