薇姫/獣帝



目が痛い。



それどころか身体中痛い。



私は腹部をさする動作をすると、透璃が私を見て言った。



「腹蹴られたの?」



その言葉を聞いてピクリと私の肩が上がった。




その反応を見逃さず鋭い視線を向けてくる隣の恭輔。




「……蹴られたの?」



『……まぁ、軽く』



そう言うと、雑誌を読んでいた筈の來哉が不機嫌そうに私の腕を掴んで立たせ、歩き出した。





……まてまてまて。





『今度は何だよ……』



「……」



來哉は無言のまま私の腕を引いてさっきの部屋に連れていかれた。




さっきの部屋は真っ白。



私の反対。




私はここに連れて来られた訳が解らず、背の高い來哉を見上げた。



私の膝裏を手で救って背中に手を回す。






『……は?』



世に言う“お姫様抱っこ”をされて困惑すると、




躊躇なく來哉は私をベッドに投げ捨てた。




思わず空中で体制を立て直してベッド上で着地する。




『何すんだよ』



そんな事言ってもあまりこいつには効果は無いんだろう。




來哉は私をベッドに押し付けた。




『……は?』





もしかして、來哉ってソッチの趣味なのか?




まさかのそうなのか?





…………



『俺はソッチの趣味ない』



「あ゛?」




すみません。



違いますよね。



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