薇姫/獣帝
「遠慮すんな」
『お前は配慮しろ』と言葉を発しそうになったけど、呑み込んだ。
『マジ、いいから………』
思った以上に深刻な声を出していて、それにきづいた來哉が悲しそうに目を伏せた。
「………悪りぃ…」
謝ってベッドから下りる來哉。
『………悪りぃ、俺も。
でも、自分でそれくれぇは出来るから』
ボタンをはめながらベッドをしっかりとみると、案外デカかった。
…倉庫内がこんなに綺麗な事ってあんまり無いと思う。
私は肩を竦めてそんな事を思ってると、來哉が待ってていてくれたらしく
ドアの前でジッと私を見ていた。
私は立ち上がって來哉の横に並んだ。
すると、來哉はまたあの部屋に向かって歩き始めた。
………もう、今日だけで二往復してる…
私は若干引き攣りそうになる頬を押さえて溜息を吐いた。