薇姫/獣帝



私は欠伸を噛み殺した。



今日は色々疲れたかも………



目を瞑った時、機会音が鳴り響いた。




『「「「………」」」』



皆無言で人を見まわす。



「…誰だよ?」


「俺、ファン○ンの着うただし」



「これ初期設定じゃね?」



「誰の?」



「………あ、」


皆がなすりつけあいしていると、恭輔が声をあげた。



ポケットを漁って、ブレザーのポケットからは黒い、かの有名なりんご社のスマホを取り出した。



それには黒い十時架と銀のリング、赤いバラがあるストラップが……



って………



『それ、俺のじゃねぇか?』



呟くと、恭輔が「倉庫に落ちてた」と言った。



………



『取り敢えず、出るから返せ』



そう言うとすんなり私の手に携帯を置いてくれた。


表示を見ると、切ってやった。




その行動に皆訝しげに私を見た。



それに自嘲するような笑みを浮かべておいた。





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