孤独の汁
孤独
若い時には、あまり感じなかった。
孤独の汁を見たことさえなかった。
今では、見える孤独の汁。
仕事の打ち合わせで、誰かと喫茶店で話していると、喫茶店の壁から孤独の汁が滲んで来てるのが見える。
笑い話しをしてても、俺は孤独の汁が気になって仕方ない。
可愛い女の子の裸の背中に、孤独の汁が見えてしまう。
文庫本の活字を追ってるつもりが、文字から孤独の汁が垂れている。
孤独の汁は、俺を憂鬱な気分にさせる。
孤独の汁は、自分自身を憐れむ心から出るようで嫌だ。
さて、腰を上げよう。
さて、腰を振って踊ろう。
孤独の汁に、足をとられてもいいじゃないか。
なんとかなるよ。
< 1 / 3 >