注文の出来ない喫茶店【短編】
塩コショウで調えた程度の味付けが、尚更、野菜の旨味を引き出し、優しい味となっている


そして
それは高嶺の胃袋へ
じわり
じわりと
落ちていった








結局、高嶺はその野菜スープをゆっくりと飲み干した。静かにスープカップをテーブルに戻すと


「ご馳走さま。旨かった」


とだけ、伝えた


「それは、良かったです」


と、答える店の主


高嶺はゆっくりと息を吐き出すと、代金を尋ねた


「今日は結構です。うちのシステムをご存じないようでしたので…次回はいただきます」


笑顔で店の主は答えた














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