たった一つのお願い
「……春陽」
「理央…?どうしたの?」
いきなり抱き締めた俺に彼女は何もなかったような笑顔を向け語りかける。
目を赤くして腫らしているくせに。
「俺は頼りないか?」
「…ううん…………」
「いつになったら俺に対してもっと頼ってくれるんだ?」
「私は理央にたくさんしてもらってるよ」
何故こうも俺の彼女は、我が儘じゃないんだ。
欲が有りすぎても困るが、春陽に関しては無さすぎるのはもっと困る。
「…そんなに目を赤くしているのに俺に言う事は何も無いのか?」
「もー…そこは乙女心を察して下さい」
「無理だ」
俺は白黒ハッキリしないと分からないタイプだ。
また、ハッキリさせないと気が済まないタイプでもある。