たった一つのお願い
そして蚊の鳴くような声でポツリと、
「―――――…たい」
「すまない。聞こえないから少し大きく頼む」
「―…本当はもっと理央の傍に居たい」
その時、俺の理性が壊れて気付けば春陽の唇を奪っていた。
あんなにも可愛い事を言われたら何をどうやって抑制すれば良いか分からない。
…もうすぐで今日の担当の看護師が様子を見にくる時間だが…来るまでずっとこのまましていれば良いかと思い直す。
あぁ…こんな感情全部春陽のせいだ。
病院でなければ、手術を控えていなければ、確実に襲ってる。