たった一つのお願い


「へぇー…じゃあ、祐司先生と理央って五年以上の付き合いになるんだね」




――…何故か今、俺と祐司は春陽を囲み俺達の学生時代の話をしていた。




「よく考えたら長いなぁ…そんなになるのか」




祐司は愛想良く頷いている。


しかし俺は…




「理央、ノリ悪ーい」




当たり前だ。
あの後で“おあずけ”って何だ。俺は今までおあずけなんてされた事ない。しかも貴重な休みを面白くも何ともない奴と一緒に学生話…




「せっかく理央や祐司先生の昔話聞けると思ったのに…」




「……………」




「ほら、春ちゃんこう言ってるぞ?」




「……俺は学生時代ずっと本を読んでたよ」




俺の馬鹿。
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