たった一つのお願い
祐司には笑われたが、コレばかりは仕方がない。
…俺も春陽には充分甘いと自覚している。
そもそも何故こんなにも講釈たれな俺が負けてしまうのだろうか?
しかも俺は春陽より年上だ。一、二歳の話ではない。十歳だ。
それでも春陽のあの、残念そうな声や名残惜しいような笑み。
あるいは、嬉しそうに俺に語りかけてくると考えていた事が頭から離れ浄化させてしまう。
春陽の声を聞いているだけで良いかと思ってしまう。
あぁ…俺ってこんなタイプだったろうか?
コレって重症じゃないだろうか?もはや依存レベルになるのか?
自分で自分に呆れる。
「理央、聞いてる?」
マズい。全然聞いていなかった。
「…悪い。考え事をしていた」