たった一つのお願い
そうして会話も終わりに近づいた頃。
「ねぇ、最後に理央に聞いて良い?」
「何だ?」
そう聞くと彼女はずっと聞いてみたかったんだ…と呟いた。
よくもまぁ、俺に対してこんなにも質問事項が出てくるものだ。
好きな食べ物から俺の日々の過ごし方まで数え切れないくらい聞いたというのに。
…答える俺も俺なんだろうが。
他の奴にはこんな事絶対しない。というより無視するな。
「理央がお医者さんになったのはどうして?」
あぁ…そんな事か。
俺は迷うまでもなく、淡々と答えた。