たった一つのお願い


それから数日が経ち、俺はある事に気づいた。




春陽のお父さんに彼女の指のサイズを聞くの忘れた、と。



春陽の手術まであと一週間となってしまったのにこのざまだ。
ほとほと呆れるしかない。一体俺は自分に何回呆れれば気が済むんだ?




「春陽、久しぶり」



「久しぶりってメールしてたでしょ」




だが、今週は忙しさが並みに戻ったので通常昼休みを満喫出来る。
通常、なので五分昼休みではない。
春陽と付き合って初めてのゆったりとした昼休みだ。




「あれ?
理央、清々しい顔してるね。何か良い事あった?」



「春陽に会えた」



「はぐらかさないでよバカ!」




こんなに俺を罵倒出来るのは春陽ぐらいだ。
< 151 / 264 >

この作品をシェア

pagetop