たった一つのお願い
春陽の病室から出ると、とりあえず俺は手術一週間前に控える祐司を(しかも男)を誘うのは憚られたので、宮ちゃんに声をかける事にした。
宮ちゃんと話すのは久しぶりだ。
宮ちゃんはあまり探さずに見つける事が出来た。
「あ、宮ちゃん」
「あら三神先生。どうされたんですか?」
「あの…明日の午後って空いてますか?」
何人か看護師達にジロジロ見られたが、関係ない。
しかし場所は変えれば良かったと後悔した。
また宮ちゃんに噂をかけられてしまうのは申し訳ない。
「あら。先生のお誘いならいつでもお供しますよ」
……宮ちゃんも大概肝が据わっていると俺は思う。