たった一つのお願い
「コレ、気に入ったんですか?」
淡いグリーンのようなよく分からない色をしたイヤリングだったが、確かに輝きを放って綺麗だった。
「んー…給料日がまだですし…さすがにこの値段は迷いますね…」
俺は振り返ると先程の店員が戻って来ていたので、ついでにコレもお願いしますと呼びかけた。
「せ、先生…!
こんな高価な物いただけませんよっ…」
珍しく宮ちゃんが慌てている。
「春陽の指輪よりも安いですし…俺が最初に選んだ物の赤字を考えたらプラスです」
「でもっ…!」
「宮ちゃんにずっとお礼したかったんです。どうせなら喜ばれる物を贈りたい」
言い合っている俺達に店員は迷っていたが、俺が宮ちゃんを押しのけてお願いしますと言うとありがとうございますと笑顔で言われた。
「……先生、ありがとうございます…大切にします」
余談だが、俺的にはこちらのお礼の方が好ましかった。