たった一つのお願い
「理央、今日はいつにも増して無表情だね?どうしたの?」
何故かひどく安心した。
このまま言わなければ。
「………春陽」
「ん?」
中々先を紡がない俺に春陽はどうしたの?やっぱり変だよ、と言って俺を見つめてくる。
大丈夫。
俺はやっぱり春陽しか考えられない。
彼女にはもっと俺の隣で笑って欲しいから。
俺はポケットから紙を彼女の机の前に置き、指輪のケースを取り出して開け、言った。
「春陽。
俺と結婚して欲しい」
ロマンのあるシチュエーションなんて考えられない。ムードなんて作れない。
だけどコレが俺の、精一杯なんだ。