たった一つのお願い


すると彼女は、俺の前で涙をポロリと零した。


二度目のそれは、あまりに綺麗な姿だった。



しかし、




「ありがとう。
でも私、理央と全っ然結婚する気ないから。
だから…だからコレは没収ね!」




そう言って指輪と婚姻届を布団の中にしまい込んでしまった。




「は!?
ちょっと待て!春陽は俺が好きじゃないのか!?」




てっきり俺はすぐに頷いてもらえると思っていた。




「っ……好き、だよ…
好きだけどっ!そういうのは理央と考えてないのっ!!」




真っ赤な顔で彼女は言う。何故涙を零しながらそんな顔してそんな事を言うんだ。


意味が分からない。
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