たった一つのお願い
とうとう手術前日となった。
春陽は手術に備えて髪を切り、俺がプレゼントした帽子を付けて病室に戻って来た。
今日は仕事を午前までにし、午後からは休んでいる。帽子はつい先日、仕事がそんなに忙しくなかった俺は家の帰り道に買った物だ。
髪を切ってもやはり春陽は春陽で。
「スキンヘッドにしちゃった。似合う?」
だけどそれがどうしようもなく俺の何かを掻き立てる。
「春陽」
だから俺は宮ちゃんが隣に居る事も忘れ春陽に抱きついた。
「り、理央…!?
ちょ……いきなり盛らないでよ!!宮ちゃん助けて!!」
当然拒否されたが。