たった一つのお願い


そうして術後の回診などをして終わると、もう15時は過ぎていて遅い昼ご飯を食べることになってしまった。


院内には喫茶店もついている大きな病院で設備的に不便なことは何一つない。




「あの、三神先生。宜しければ私と昼食一緒にしませんか?」



「いや、悪いけど一人で食べたいんだ」




ふと気づけば隣に見知らぬ看護師が居た。
看護師の人数は多くて一々覚えていない。
たまに違う科の奴も誘ってくるから余計に分からない。


俺はどうやらまだ若く、自分で言うのも馬鹿みたいだが顔もそこまで悪くないので何度か誘いを受ける。



けれど仕事で疲れている俺は、無理に笑顔を作って楽しくない彼女達の話を聞く気にはなれず、毎回丁重にお断りし、遅い優雅なランチタイムを一人で楽しんでいる。
< 2 / 264 >

この作品をシェア

pagetop