たった一つのお願い


そう、言ってみたら




「…まぁ、あそこは混んでるからな」





…今はほとんどの人が走ってるから少ないと思うけど。

確かにもう少しすれば顔を洗う人や水を飲む人で水道は混みあうだろう。それが嫌ってことかな。





「そ、そんな事より俺の名前知ってたんだな!?」




…知らない人の方が少ないと思う。




「知ってるよ。同じクラスだしね」



「そっか」




あ、この人こんな顔もするんだ。



前代未聞の目立つ赤髪。



彼のインパクトはたったそれだけ。別に不良でもなんでもなく、ただただ髪が赤いだけ。
だけど黒髪の多い日本人の間ではそれは目立つ対象だった。ピアスを付けてるわけでも染めてるわけでもない。地毛の赤髪。だから教師は何も言えない。最初は周りも噂こそすれ不良でもない善良な園田君に今では馴染み、普通に話しかけている。彼は目立つ友達の多い人だった。
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