たった一つのお願い


「よう」




いつものようにお昼を食べていると、目の前に園田君が現れた。

私は驚いて口に含んでいたパンを思わず丸のみしてしまう。…苦しかった。





「園田君…?どうしてここに…?」




すると彼は、少しぎこちなさく答えた。





「…ちょっと、仲良くなりたいと思ったから…」





園田君は相変わらず優しい人だなぁ。私みたいな人と仲良くしようとしてくれるなんて。





「っ、だからその、“園田君”ってやめろよ」




「じゃあ、園田で良い?」




「…なんでそこは“龍”にしないんだ?」





やっぱり園田龍で名前合ってたんだ。





「俺は、“春”って呼んで良い?」




あ、名前知っててくれてたんだ。なんかちょっと嬉しいや。





「好きに呼んで良いよ」




「なんかあだ名で呼ぶって仲良くなれた気がして嬉しいや」






本当にこの人は人懐っこい笑みを浮かべる人だなぁ。見てるとこっちがくすぐったい。
< 226 / 264 >

この作品をシェア

pagetop