たった一つのお願い
「よう」
いつものようにお昼を食べていると、目の前に園田君が現れた。
私は驚いて口に含んでいたパンを思わず丸のみしてしまう。…苦しかった。
「園田君…?どうしてここに…?」
すると彼は、少しぎこちなさく答えた。
「…ちょっと、仲良くなりたいと思ったから…」
園田君は相変わらず優しい人だなぁ。私みたいな人と仲良くしようとしてくれるなんて。
「っ、だからその、“園田君”ってやめろよ」
「じゃあ、園田で良い?」
「…なんでそこは“龍”にしないんだ?」
やっぱり園田龍で名前合ってたんだ。
「俺は、“春”って呼んで良い?」
あ、名前知っててくれてたんだ。なんかちょっと嬉しいや。
「好きに呼んで良いよ」
「なんかあだ名で呼ぶって仲良くなれた気がして嬉しいや」
本当にこの人は人懐っこい笑みを浮かべる人だなぁ。見てるとこっちがくすぐったい。