たった一つのお願い
それからというもの、龍と他愛もない話をする機会が増えた。大体それは昼飯時である。
特に趣味もない私とここまで楽しく話せるなんて凄いと思う。
最近はやりのドラマの話や最近の気候の変化の話、時には経済ニュースについても話してくれる。私には知らない事ばかりで相槌をうつくらいしか出来ないけど、龍の話し方や口調は本当に聞いてて退屈しなくて学校の先生の話より楽しかった。
それでも私は前より休む事が多くなっていた。そんなある日のことだ。
「…春は病院行かないのか?」
「そうだね…もう少し…」
結局病院行くなら、お父さんに隠していた意味がなくなってしまう。貫き通せないウソをつくくらいならつかない方が良い。そんな事は分かっている。知っている。
…だけど、最近ますます調子が悪くなってきていた。多分、龍にも顔色が良くない事がバレているんだ。だから、龍はこんな事を私に言うんだ。…ダメだな、私って。
「もう少しっていつだよ?もしかしたらヤバい病気かも知れねーじゃん。何でそんなに我慢するんだよ?最近歩くのもつらそうだし」
…やっぱりバレてるんだ。
眩暈が酷くて、1日に何度も吐き気も何度も襲ってくる。だから身体を引きずって学校には来ているけれど、授業も保健室で過ごしたりと出る回数が少なくなっていた。…もうそろそろ限界かもしれない。