たった一つのお願い
はずなのに。
何故俺はふとよぎったあの言葉が頭から離れない?
ずっとこうして考えて気になっている?
俺の興味を引くものは二つ。読書と医学。これだけのはずだ。
分からない。
今まで分からない物なんて全部調べて解決してきたはずだ。
あぁ…足は階段の方へ向かっている。
用がないはずの5階へと足を運んでいる。
何故か気持ちがはやる。
――仕方ない。
ここまで気になっているのなら。
全て素直に受け入れて、彼女に会ってこの謎めいた感情を解明するしかない。
そうすればきっと分かるはずだ。
大丈夫。
今日は時間がある。
が、あまり持ち場を離れるのも悪いので30分くらいで良いだろう。
気持ちを知るには充分すぎるくらいの時間だ。