たった一つのお願い


そうしてウジウジしたって嫌な事ばかり考えてしまう私は病院内を探検する事にした。


と言っても、1番仲のいい看護師の宮ちゃんに事前に探検しても良い場所を尋ねている。



私が嫌いなお薬の時間になったら探検タイムスタートなんだ。



龍との関係も今は落ち着いている。
きっと龍は私のもう一つの病気に気づいていたんだ。


だから、あんなにも震えて怯えていたんだ。




そしてもう1つ根拠がある。
それは龍が決して私にいつ退院するの?と尋ねない事だ。



だから、私は私の癌の病気知ってるの?と龍に尋ねない。お互いにその部分には触れないと暗黙のルールが出来ていた。

その代り龍は私にいつも学校での楽しい出来事を話してくれる。明るく、話してくれる。勿論龍も忙しいから毎日病院へは来ないけれど、でも。私を彼の精一杯で気遣ってくれている事が分かるんだ。



分かるから私は―――――…






そんな時、私は理央に出会ったんだ。




< 243 / 264 >

この作品をシェア

pagetop