たった一つのお願い
「わっ……」
「あ……すまない。大丈夫ですか?」
第一印象は、ただカッコ良い…それだけだった。
私は思わず見惚れてて、宮ちゃんに走っちゃダメとか言われたけどそんな事はどうでも良かったから反省もせず適当に返事をしてしまった。
「もう高校生のくせにそんな事言ったらダメでしょう?
ほら!まずは三神先生に謝りなさい!
三神先生、すみません…私の監督不届きで…」
三神先生って言うんだ…
そして名前だけはちゃっかり聞いてしまう私はなんて現金な耳なんだろうと思ってしまった事を覚えている。
でも、理央は本当に私が想像した通りの王子様みたいな容姿をしていたんだ。だから引き込まれてしまうのも仕方ない…と龍に何度も心の中で謝りながら呪文のように唱えていた。
そして理央と話していると楽しくて。
こんなに話したのはいつぶりだろうと思うほどに話していた。
龍とは話しを聞くばかりだったし、宮ちゃんや祐司先生もお仕事あるからずっと一緒なわけじゃない。お父さんはお仕事だ。
だから、こんなに何気ない会話が、話している事が、楽しかった。