たった一つのお願い


そうして半ば無理矢理な申し出にも関わらず、理央は毎日来てくれた。
自分ではてっきり冗談に流され、相手にしてもらえないと思っていたから外だった。

でも、それ以上に嬉しかった事を覚えている。


こんな、つまらない私の病室に毎日毎日来てくれた。


だけど、コレ以上は自分でもマズいと分かっていたのに

もっと早く、理央にごめんなさいと言うべきだったのに





「ふっ…確かにな」






―――――こんな笑顔を見てしまったら、もう自分の心が引き返せない。



やっぱり、私理央が好きなんだ。



こんな未来も少ない、しかも私なんかが理央に恋するだなんておこがましい事だと分かってる。


でも、どうしても頭から離れなくて、胸が痛い。




理央、ごめんなさい。

龍、ごめんなさい。



私はもう、龍じゃなくて理央が好きなんだ。


次、龍が病院に来てくれる時にきちんと話そう。それで…終わりにしよう。何もかも、全部。



龍との関係も、先生の事も、全部終わりにして―――今度こそ誰にも迷惑のかからないように静かに過ごそう。
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