たった一つのお願い
「ハァ――――…やっぱりそうだよなー…」
すると龍は深い吐息をついて、頭を抱えうずくまってしまった。
「…りゅ「俺さ、」
私の言葉をさえぎって龍は顔を俯けたまま続けた。
「やっぱり春を支えられる自信ねーや」
「…え?」
「部活入ったのも、バイトも急激に忙しくなったのも自分がわざと春を避けるためだった。俺、春の病気は絶対治るって思ってて…でも、担任がある時春の病気の事話してるの聞いちゃって…ショックでさ…」
龍の声はどんどん弱くなって震えていく。
「…俺には、春を支える器がねーんだってなんて情けないんだって思って…そのくせ別れ話も上手く切り出せなくて…もうホント俺ってダメダメだよな…あんだけ告白する時はカッコ良い事言ったのにな…」
「…違う」
「え?」
「それは違うよ、龍」
龍は情けなくなんかない。ダメダメなんかじゃない。
「悪いのは全部私なんだよ」