たった一つのお願い
「私は龍に元気をたくさんもらったし、龍のおかげでもっと学校に行きたいと思えるようになった」
それは私の中で確かに変わった、まぎれもない事実なんだ。
龍が居てくれたから、毎日がこんなに楽しいんだって、話せる事は幸せなんだって思えた。
1人で食べる食事より2人で食べる食事の方が嬉しいんだって教わった。
「私が別れようって言ったのは龍がダメなんかじゃない。私が、龍以外の人を好きになってしまったから…だから、別れようって言ったんだよ…」
だから、コレ以上龍は自分を責めないで欲しい。
「私をいくら罵って罵倒してくれてもかまわない。だけど、龍自身を責める事だけは、止めてほしい」
「…ホント、春はお人好しだよな…何で、自分の方が辛いはずなのに、そんな言葉が出てくるんだ?」
「え?」
「だった俺達、まだ高校生だぞ?人生半分も謳歌してねーじゃねーか。それなのに、自分の命の終わりを告げられたんだろ?もっと他にあたるとか、落ち込むとか、泣きわめくとか…何でしないで1人で抱え込むんだよ?」