たった一つのお願い
むしろ働けと言われてもおかしなぐらい休んだのだ。
当初予定していた休みより、周りの医師や看護師のおかげで多くとらせてもらっていた。
周りの奴らは俺とは違い、随分お人好しすぎる。
「三神先生」
――――どうして彼女がここに?
春陽が居なくなって彼女とは全く接点がなくなっていた。
祐司とも俺が多忙なため飲みに行ってはいない。
だから今は脳外科の人とは関わりが全くなかった。
そもそも、心臓外科医の俺が脳外科に用がある事自体がおかしな事だったのだ。
「先生に春ちゃんからのお届け物をしたくて来たんです」
ここは4階。本来なら、彼女が来るような場所ではないのだ。
「…届け物…?」
何故、今更春陽の名前が出てくるんだ。