たった一つのお願い



彼女がどうしてもと言うので、俺達は休憩をとる事にし、人目のつかない病院の外の裏の木陰に居た。彼女が場所も出来るだけ人目のつかない場所が良いと提供したためである。



そうしてお互いに何とも言えない空気が漂った頃、彼女は口を開いた。







「春ちゃんはね、本当に先生の事が大好きなんですよ」






そう言いながら、持っていた紙袋を俺に手渡した。




中にはファイルと青い折鶴が1つ。






『先生は青が好きなんだね』






――――…俺の脳裏に春陽の声が過ぎる。


震える手で、ファイルから紙を1枚取り出す。






「………何で……」






こんなものが。

俺は驚きのあまり、声も上手く出ない。


確かコレは…






『ありがとう。
でも私、理央と全っ然結婚する気ないから。
だから…だからコレは没収ね!』





――――彼女が没収した要らないものだったはず…
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