たった一つのお願い




  理央へ

 私は理央の笑った顔が好き。

どれも好きだけど、やっぱり笑顔が1番好き。

その微笑みで私の名前をいつも呼んでくれる度に
そう思ってた。

だから、理央はこれからも“笑って生きて”

素敵な思い出をありがとう。

            春陽より










「―――俺だって、こんなに好きなのに…っ…」





どうして彼女はいつもこんな…



悔しくて悔しくてたまらない。



今思えば、彼女に好きだと言ったのは告白した時だけじゃないか?



俺が春陽をどれほど愛惜し、

それほど切愛していたのか、


彼女は知らない。



尋ねられて頷いたりはしたものの、明確に言葉に表しはしなかった。






もっと好きと言えば良かった


もっと春陽と一緒に居れば良かった


もっと彼女を笑わせたかった


もっと気の利いた事を言えば良かった


もっと春陽に無理にでも結婚して欲しいと言えば良かった




―――そしてもっと春陽の前で笑えば良かった…
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