たった一つのお願い
「くそっ…」
悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。
1度後悔してしまったら、それは泡のように次々と浮かんでくる。
そうしないよう、過ごして生きてきたはずなのに。
俺は馬鹿で愚かで救えない。
今になって漸く春陽が本当にこの世にはもう居ないのだと受け入れた。
その実感は、俺の頬をつたう涙が証明している。
『笑って生きて』
だけど、彼女は俺にこんな言葉を残した。
だから俺は無理にでも腹筋を使って笑うしかなくて。
彼女の、たった一つのお願いを、
「ふ…っ…くくっ……」
だが、今日だけはやっぱり許して欲しいと祈りながら
明日は叶えようと決意する。