たった一つのお願い


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「あれ?三神先生、その机の青い鶴、どうしたんですか?」






久しぶりに定期検診へやって来た患者さんにふと尋ねられる。






「あぁ、コレですか?コレは彼女からの大切な贈り物なんです」






たった一つの祈りなんだ。


それはあまりに残酷で―――けれど残酷なほどに優しい彼女の想いなんだ。





春陽が亡くなって随分経つ。



だけど、未熟な俺はまだ彼女のそんな願いをまだ叶えられていない。


今はまだ。



彼女の望む笑顔にはほど遠い。





あの日叶えられなかった彼女のたった一つのお願いを



今日こそは叶えようと思いながら日々を過ごしている。













―終―
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