たった一つのお願い
「ははっ…当たり前じゃん。コレはここで入院している子達にあげるの」
……とんだボランティア精神を持っている奴だな。
他人に冷めている俺とは大違いだ。
「この階の奥にさ、遊び場があるでしょ?」
あぁ…確か絵本やら積み木やらオモチャの置いてある園児向けの広場か。
あそこは小さい子で入院している患者がよく遊んでいる。
「よくこの階を探検するんだけど、偶々そこを通った時じぃーっと見てたらお姉ちゃん遊ぼ!って言ってくれて。仲良くなっちゃったの」
だからその子達のために千羽鶴作りたくて…と彼女は言った。
お父さんにお願いして沢山折り紙を買ってもらったとも。
「そうか」
「うん!だから、説明書見て作るんだけど、どうしてもここが出来なくて…」
彼女が指し示した場所は、皆一度が苦労した事のある場所だった。
確かにそこはややこしいかもしれない。
俺は彼女と折り鶴をする事になった。