たった一つのお願い
「あら。三神先生、いらしてたんですか」
するとドアの方から宮野さんの声が聞こえた。
「えぇ。今日は時間が出来たので」
「宮ちゃん宮ちゃん!
見て見て!理央先生器用だよ!折り鶴見本みたいなの!」
俺の完成品をさも自分が作ったかのように掲げる彼女。
そんな彼女の鶴は、お世辞にも綺麗とは言い難い完成度だった。
「理央先生はお医者様ですからね。
お医者様は皆、器用ですよ」
まぁ、確かに。
細かい手術は1㎜単位が運命を左右する時もあるからな。
「宮ちゃんも一緒にやろうよ!」
そうして今度は三人で鶴を作る事になった。