たった一つのお願い
第二章

見解1



その日から毎日俺は春陽ちゃんの病室へ通った。


この俺が毎日、だ。


普段今までの人生でろくにまともな約束した事がない俺が毎日だ。
自分でも驚いている。


春陽ちゃんに会ってから驚くことばかりだ。
自分でもこんな誠実な感情があったのだ。




「理央先生!見て!
今までで一番綺麗に折れた」




俺に鶴を高らかに掲げて見せてくる。

あぁ、すっかり名前呼びが定着してしまったな。
だけど、やはり嫌だと思った事がない。
むしろひどく心地良い。


この、優しい声色がそう感じさせるのだろうか?




「理央先生、最近よく考えてるよね?
お仕事忙しい?」




あぁ…勝手な考えで彼女を不安にさせてしまった。




「違う。最近は仕事は順調だから。気にするな。
それよりその鶴、綺麗だな。俺はその色好きだ」




綺麗な、青色の鶴。


理由はないが、強いて言うなら青は見ていて落ち着くから、だろうか。
一旦冷静になれる。


だから俺はよく青色のハンカチや青色の携帯…と、とりあえず青色の物が多い。
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