たった一つのお願い
「うわぁ…宮ちゃん、写真撮っとけば良かった」
「そうだね。貴重ですもんね」
この人達は一体何の話をしているのだろうか?
写真?俺の後ろに珍しい物でも見えたのか?
だが生憎俺の後ろはただの白い壁しかない。
俺が頭にハテナマークを浮かべていると春陽ちゃんが笑顔で答えをくれた。
「私、先生の笑った顔凄く好きだなぁ」
「!」
何故か心拍数が上がる。
たった一言。
何気ない一言を聞いただけなのに。
言いようのないこの感覚は何なんだ。
一体俺はどうしたというのだろう。
熱はない。だが、身体は熱い。動悸が早い。
息が、苦しい。