たった一つのお願い
「まぁ、何となく、だな」
コイツは一体何が言いたいのだろうか?
「――まぁ、俺はもう春陽ちゃんには会いに行かないがな」
「は!?」
「俺は……あの現場を次見たら必ず邪魔をする」
あの時。
俺が知らない春陽ちゃんの声を聞いた時。
羨ましい反面、俺の中はどす黒い色で染まっていた。
あの、会話に割って入り、嘘で検査だと言って引き裂いてやりたかった。
醜いぐらいの嫉妬だ。
だから俺は目を閉じ、壁にもたれるしかなかった。気になってその場を離れる事の出来ない俺が、精一杯抑制をさせる方法はそれしかなかった。
目を閉じて別の事を考える事しかなかった。