たった一つのお願い
そして、そんな事を考えていたおかげで俺は人にぶつかってしまった。
「わっ……」
「あ……すまない。大丈夫ですか?」
見ると俺より軽く10㎝も小柄な女の子だった。
髪は短く、紫色の留めをしていた。
どうやら彼女は俺の胸に勢いよく、顔面をぶつけてしまったみたいで、顔を手で押さえていた。
勢いは向こうがあったくせに、あまりに体格が違いむしろ俺ではなく彼女がダメージを受けたようだ。
「ほら!
だから病院内は走っちゃダメって言ったでしょ!」
すると後ろから追いかけていたらしい、この子の担当の看護師が追いついて来たようだ。
「だって薬まずいんだものー胃に優しくない!」
「もう高校生のくせにそんな事言ったらダメでしょう?
ほら!まずは三神先生に謝りなさい!
三神先生、すみません…私の監督不届きで…」
「いえいえ、気にしてません。こちらも少し考え事をしていたのでお互い様です」