たった一つのお願い
「先生…私が龍と別れようと思った理由は本当はいっぱいあるんだ…」
「……………」
「自分が惨めだとか弱いとか……でも、一番の理由は全然そんな事じゃなくて…」
「……………」
ニコッといつもの笑みを浮かべて彼女は俺を優しく見つめながら言った。
「……先生を好きになってしまったから」
「っ!」
「先生が笑った笑顔がどうしても頭から離れなくて…先生が居ない間は龍のことじゃなくていつの間にか先生のことばかり宮ちゃん達に聞いてた」
「…………」
「その時私は先生が…好きって自覚したの…あと、ごめんなさいって…」
「…………何故、そこで謝罪の言葉が出るんだ?」
俺はベッドに腰掛け、視線を交わしている彼女に漸く、言葉を発することが出来た。